遡ること約150年。
場所はアメリカ、西海岸。
時代のニーズが生み出した"とある作業着"。
ウエストオーバーオール。
ジーンズ。
デニム。
時代の流れと共に呼称を変え、世界各国、老若男女に愛される“定番”の名が相応しい、僕らのワードローブに欠かせない存在。
労働者をはじめ、アウトロー、ミュージシャン、アーティスト。
時代の移り変わりと共に様々な人々に愛されてきた"デニム"。
スタイル。色落ち。歴史。蘊蓄。
人々を魅了する理由は様々。
モノヅクリにおいては、皆様ご存じのとおり、"Made In Japan"が"高品質"を表す1つのステータスとなっています。
そのジャパンデニムのクオリティが世界に知られるキッカケの1つは間違い無く90年代以降のヴィンテージブーム。
それに伴う所謂"レプリカ"と呼ばれるジャンルの誕生でしょう。
スポットライトを浴びた過去のデニム達。
古着はいつしか”ヴィンテージ”と呼ばれるようになり、デニム好きがこぞって
〇〇年の生地はこう。
▽▽年までこのディテール。
××年からここがこう変わる。
と、過去の歴史を紐解いてきました。
先人達の功績により、現在では少し調べれば"過去"の情報は沢山出てきます。
また僕ら洋服業界の人間もディテールから○○年代のイメージのデザインだなぁなどと判別できるわけです。
さてここからが本題です。
先にお伝えしたように時代と共に進化、変化するデニム。
バックポケットが2つとなり。
ベルトループが搭載され。
シンチバックが廃止され。
“パイプドステム”と呼ばれるシルエットから”テーパード”シルエットとなり。
セルヴィッチがロックミシンに変わり。
80年代までの進化は多種多様。
それでは90年代以降、
2000年代のデニムとは?
2010年代のデニムとは?
どうのように進化したのか?
答えはおそらく十人十色。
近年の多様化したファッション業界において”今のデニムとは?“を定義するのは難しいことです。
今回の"SPデニム"は僕らが思う"今"のデニムを作りたい。
"2020年代"のデニムを作りたい。そんなテーマで依頼しました。
僕らが思うデニムとは?
タフであること。
デニムとは?
育てるもの。
デニムとは?
ワークもミリタリーもモードもスポーツも。
どのジャンルにも落とし込める万能アイテム。
お待たせいたしました。
それでは各ディテールと共にご覧ください。
Silhouette/シルエット
大まかなイメージを伝え、新しく起こしたパターン。
太過ぎず、細過ぎず。
ジャケットでもカットソーでも。
様々なアイテムとの調和を取りやすいシルエットが完成しました。
サイズレンジは28インチから38インチまでの9サイズ。
サイズ毎に微妙に変わるシルエットも楽しめます。
Fabric/生地
ブランド定番のイケ綿生地。
新しい試みで、リジッドではなく"生地洗い"。
読んで字の如く、原反(生地)の段階で洗いをかけて縮めています。
表面の毛焼きをしてないので、防縮加工よりも自然な生地の表情が出るかな、と。
縮んだ生地と未洗いの縫製のギャップがどのような表情を生み出すものか。
答えは穿き込んだ先に。
Zipper Fly/ジップフライ
生地の整理加工の進化が可能にしたジップフライ。
昔は“洗い”によって生地が縮む為、採用できなかったディテール。
(生地の縮みがジッパーの歪みにつながる為)
また、既存ジップと引き手は同じですが、務歯をやや大きいものに変更しより頑丈に。
ジッパーを開けるときの感触もアップデートされています。
Rise/股上
BONCOURA史上最深の深さ。
31インチで股上を約33cmに設定。
30cmオーバーの腰回りでデニム育成の醍醐味"ヒゲ"を刻み込むスペースを惜しげもなく確保。
また、見た目とのバランスと機能性を両立するために
フロントポケットのラウンド角度やスレーキの深さにも拘りました。
Belt Loop/ベルトループ
100年前の1922年に搭載されたディテール。
100年続く基本仕様はフロント2ヶ所、両サイドに1ヶ所ずつ、そして後ろに1ヶ所の、計5本搭載。
今回はベルトで締めた時のフィットを向上させる為、後部に2本追加。計7本に。
前例はおそらく無い、7本ループのバンザイ付け。
(縫製方法の話です。気持ち強度は向上してるかもしれません。)
サイズアップでの着用も快適です。
2022年からはベルトループは7本でも良いのでは。
Inseam/インシーム
タフさを追求した質実剛健なダブルステッチ。
過去をリスペクトorオマージュしたデニムだとほとんど採用されていない巻き縫いのインシーム。
圧倒的な強度とアウトシームとは一味違ったパッカリングが期待できます。
Sewing Thread/縫製糸
デニムの縫製はオレンジやイエローが基本ですが今回はブラック。
様々なスタイルにすんなり溶け込むような見た目にしたかったので。
最初は生地の濃さと相まってサイレントな見た目ですが、
生地がフェードし、色が抜けてくるとブラックステッチが
存在感を増してくることでしょう。
生地のエイジングに反比例して存在感を増すステッチも面白いはずです。
ちなみにポリ糸や混合のコア糸は経年変化を優先し採用してません。
Parts/パーツ
リベットは打ち抜き型。
ジップフライのテーパード = 60s~ = リベットはかぶせ型
あるあるの方程式では面白くないので打ち抜き型。
男らしい、漢らしい、見た目が単純に好みです。
トップボタンも同様の理由でシルバーにしてます。
brand_BONCOURA
model_ロフトマン別注 SP デニム
size_28/29/30/31/32/33/34/36/38
price_¥36,300~¥38,500
10周年を超えたBoncouraとLOFTMANのお付き合い。
自信を持ってオススメできるデニムができました。
1000点満点中990点です。
皆様の育成でこのデニムが1000点満点になれば嬉しく思います。