偶然が産んだホワイト、理想通りのパープル

振り返ってみると今年のLOFTMAN TOKYOは色んな別注をやったなぁと思います。Willow Pants・Filmelange・MOTHER HAND…。僕達が着たい服というのを好きなブランドと協業して作れたというのは本当に有り難く、お客様にも共感してもらって、全ての別注が発売してから2週間ほどでほぼ無くなりました。最後はこれで締め括ります。

始まりはBATONERサイドからイベントの提案を受けた所から。ここ2年くらいで東京店でもイベントをするようになり、BATONERでもいつかできたらいいなーなんて話していましたが、まさかのブランド側からのオファー。更に別注もやりませんかというお話も頂き、今回の東京店別注が誕生しました。BATONERといえばニットのイメージが強いですが、今回はスウェットを別注しました。ちょっと変わった事というか、ブランドのB面も提案したい僕達の今年最後の別注です。

ここ数シーズンでブランドの定番になりつつあるJumberca Crew Neck 。ドイツの希少なジャンベルカという旧式織機を用いて、ゆっくりと度詰めに編み立てられた生地は大量生産のスウェットには無い上質な着心地。この生地がとにかく良い。外側はしっかりと目が詰まったハリのある生地感ですが、内側はふっくらとしたソフトな肌触り。それでいて軽い。文句の付け所が無いスウェット生地の最高峰です。ただ、色変更だけの別注はウチらしく無いなと思い、形・デザイン全てを1から作らせて頂きました。

- 着用サイズ -
173cm/65kg (Size・3)

イメージは50’sから60’s頃のアメリカンヴィンテージにある針抜きリブスウェット。針抜きリブはニットの袖口にも使用される事の多いディテールであり、一般的なリブ編みよりもテンションが緩い為に柔らかく、着た時のストレスが無いのが特徴。リブの長さもやや長めにとり、クラシックなルックスに仕上げました。

アメリカは衣服を乾燥機にかける文化が根付いており、防縮加工のされてないこの年代のスウェットはサイズが小さく、着丈もかなり短い個体が多いです。なので、古き良きデザインは残しつつ、シルエットは身幅に余白を持たせ、着丈はスタイリングのしやすい長さに整えました。また、インラインのJumberca Crew Neckにあるポケットディテールは無くし、ラグランからセットインスリーブに変更。極力、ディテールは省き、カジュアルな要素を少なくしたミニマルなデザインに。パープルのカラーリングは90’sのファッションとしてスウェットが浸透し始めた頃のレギュラー古着を参考にしました。所謂、ヴィンテージというようなカラーリングは古着のリプロダクトみたくなってしまうし、現代だからこそ出来るそれぞれの時代の良いとこ取りをしてみました。

本来ならば、パープルとライムグリーンの2カラーを予定していたのですが、思わぬ展開に。生産の都合上、とりあえずシルエットだけ見るためにパープルに染める前のものを送って頂きました。そこで届いたものが今回リリースするホワイト。染めた時にステッチの色が浮かないようにパープルのステッチで縫製されており、これが僕達のドツボにハマっちゃいましたね。シンプルでクラシックなスウェットに遊び心のように加えられたステッチが良いギャップになっていて、偶然が産んだ面白いスウェットになりました。即答でこれが良いです!となり、ライムグリーンからホワイトに。狙った訳じゃないのに刺さるものが出来た感覚は初めてだったので、新鮮な気持ちでした。

- 着用サイズ -
178cm/60kg (Size・3)

空前の古着ブームで、ヴィンテージスウェットも信じられないくらいに値段が高騰しています。着る為に買うというよりも投資のような感覚でそれらを買うという方も増えたからなんじゃないかなと。それも一つのカルチャーですし、否定はしません。ですが、僕らはセレクトショップの人間。新品にしか出来ない事をLOFTMAN TOKYOのフィルターを通してお客様に提案できればと思っています。そんな中で完成した今回の別注スウェットは、究極の日常着であり、ファッションとして見ても面白いものに仕上がりました。

この前にリリースしたFilmelangeの別注ウールパンツやスウェットパンツなどに合わせて、ラフなのにキマるリラックスウェアとして着ても良いですし、よそ行きの洋服に合わせて、しっかりとスタイリングを組んでもすんなりと溶け込んでくれます。ファクトリーブランドだからこそ出来る、匿名性のあるスウェット。どんなに際どいアイテムでも受け入れられる懐の深さはBATONERにしか実現できません。LOFTMANに通って下さっている方も、初めて知る方も、このスウェットを通して僕達の提案を感じてもらえれば。

発売日に関しては、店頭、オンラインサイト共に11月14日(金)より発売を開始。店舗の通信販売もお受け出来ますが、混み合った場合すぐに対応する事が出来ない可能性が御座いますので、そちらだけご了承頂ければと思います。

イベントも東京店では今まで取り扱いの無かったイノセントカシミヤを取り揃えた豪華なものに。カシミヤとスウェットという相反するけれども、リラックスウェアというジャンルとして最高の商品をご用意致しました。是非、店頭に足を運んでみてください。お待ちしております。