ハンドニット・カウチン

シーズンを経るごとに当店でも少しずつファンのお客様が増えているジャパニーズ・ニットメーカー、Slopeslowのご紹介です。

”時を超えて愛用され続けるワークウェアのように、経年変化を経ても、長く愛用される、タフで上質、オーセンティックなニットウェア。”

今回は毎シーズン欠かさずラインナップされていて、そのクオリティの高さから自然とブランドのアイコン的モデルとなっているハンドニットのカウチンセーター。
23SSと23AWにラインナップされていた和紙/コットン/ウールの三者混紡の糸を使ったカウチンセーターに、柿渋染めの製品加工を施した新作です。

ウール34%/コットン33%/和紙33%と、製品表示にしてしまえばそっけないと言いますかシンプルですが、それぞれの素材がこだわりを持って選ばれています。
軸になっているのは和紙繊維の糸。古くから製紙産業が盛んな福井県のメーカーのオリジナルファブリックです。その軸に掛け合わされているのは、膨らみがありつつもドライなタッチが特徴のペルー原産のコットンと、強撚された上質なラムウールです。
それぞれの素材の第一級品をニットのスペシャリストの審美眼で選んだ、ブランドオリジナルファブリック。これだけでも、十分に上質なニットですがさらに製品染めが施されています。

柿渋染めとは日本で古来から使われている染色技法で、ただ色を乗せるだけでなく、素材の強度を上げ水を弾くという特性も併せ持ちます。そのためかつては、山野を駆け回るための山袴や山伏の法被にも使われていたそうです。
また、日光や空気に触れることで柿渋に含まれるタンニンが酸化し色が深く変化するという特徴もあり、エイジングも楽んでいただけます。

ハンドニット、手編みであるという点もこの製品を語る上では外せない部分です。
着用時に自重で垂れて重さを感じないように、限界まで目を詰めて編まれています。そのため一般的なウールのニットなどでよく感じる伸縮性はなく、堅牢かつ構築的な作りになっています。高密度に編まれていることにより防風性もあり、アウターとしての運用も十分可能でございます。

雪国、カナダ発祥の防寒用ニットアウターであるカウチンセーター。名前は知っていても意外と馴染みがない方も多いのではないでしょうか。
ハンドメイドによるクラフト感や、天然染料の染めによる独特に風合い、度詰めに編まれた和紙混のニットによる重厚感があるので、表情のある秋冬素材と合わせるとスタイリングに馴染んでくれると思います。また、ジーンズやスウェットなどの普段着に合わせるのも、この製品が持つ迫力を存分に感じられて良いと思います。

温かみのある配色のネルシャツの上にジャケットのように羽織れば、起毛素材同士抜群の相性です。

非常に重厚、堅牢なニットなのでデニムジャケットをシャツのようにも見せてくれます。
打ち抜きのメタルボタンに、大ぶりで粗い目のジッパーが好相性です。

古くは日本の山野などのアウトドアフィールドでも活用されていた柿渋染めに注目して、ダウンジャケットを上に着るのも良いでしょう。
カナダとアメリカ、そして日本。時代も国も違うシーンのアウトドアウェアを現代でスタイリングとしてミックス。こういう考え方は個人的にも大好きで、ファッションの醍醐味の一つだと思います。