毎シーズン素材を載せ替えてオーダーしている定番のモデルだが、改めてその作りを見てみると驚かされる事が多い。

まず足の構造から少し掘り下げると、親指の付け根にあたる母趾球、小指の付け根の小趾球、そして踵からなる3点からそれぞれにアーチを形成することで体重を支えている。

踵を合わせた状態で母趾球と小趾球からなるボールジョイント部分が適正な位置にあり、指が動かせるくらいの隙間(捨て寸)があるということが革靴のサイズ選びでは重要になってくるのだが、それと共に当然ながら靴自体の骨格となる木型の完成度も大事である。

具体的には、内振りである事と土踏まずのサポートが効いている事が挙げられる。

内振りとは踵から甲の頂点を通るように線を引いた時、その軸が親指側にずれ込んでいるという人体工学に基づく仕組みのことで、革靴として見た時に中底の傾斜が外側に向くように調整された形状になる。

いわゆる土踏まずと呼ばれる内側の縦アーチは疲労の蓄積と共に沈み込んでしまうので、サポートできるような機構が望ましい。