歴史的にみると北米のAlgonquian (アルゴンキン) 族などが履いていた一枚革で縫製された靴がその由来とされることの多い”モカシン”シューズ。

様々な仮説からなる”アメリカ大陸への到達”から、かの土地で生活していた彼らにとって天然に存在する、もしくは自然から享受し得る素材を使って可能な限り足を包み込む構造の履き物を作ろうとすると、耐久性や履き心地を鑑みてアッパーの素材として候補に上がるのは狩猟の副産物として採れる動物の革だったのは想像に難くない。

現在のようにシングルベッドサイズの牛革が取れるなんてことも、クッション性抜群の合成ゴムソールが入手できるなんてこともなく、もっぱら小動物の一枚の革を使って地面への接着面を平らで継ぎ目のない構造にしようと思えば、足の甲に当たる部分で継ぎ足しの縫い目が生ずるのは致し方ないことであったに違いない。

そんな実用性に特化したデザインが機能美として受け入れられ、数々の名作が誕生した。

現在ではそのオリジナリティたる手縫いのモカシン縫いすらも高速で均一に縫える機械が普及し、構築的なUチップシューズが主流となりつつある。

さて、そんな非の打ち所がない製品を見ていると少し味気なく感じてしまうのは洋服好きの性というもので、一見すると歪に見えても何かしらの付加価値が付けられるようなものに惹きつけられてしまう。今回のYuketenのCountry Rangerはまさにそれ。