ローファーの生命線と言っても過言ではない”ノーズのバランス具合”がカジュアルにも少しフォーマルな場面にもちょうどよく馴染むことから年々愛好家を増やしている定番モデル。

今回はチャールズ・F・ステッド社製の最高峰スウェード、スーパーバックを使用。

F.LLI Giacomettiの魅力としてはなんと言ってもハンドソーンウェルテッド製法。高級紳士靴でよく用いられるグッドイヤーウェルテッド製法との相違点としては出し縫い (アウトソールの縫い付け) の際に繋ぎ目の役割をするウェルトの接着方法にある。

少し掘り下げると、前者のハンドソーンではウェルトを直接縫いつけられるように中底となる革に溝を掘る。この作業工程を含めた機械化は困難を極めるため、未だに職人による手作業が必要となるのだが、その簡略化のために後者で採用されているのが接着式のリブテープによる方法。機械化が可能で作業効率は飛躍的に向上するが、どうしてもリブテープの硬さからソールの返りが悪くなり、コルク等の中物の量も増えるためサイズ選びが難解になってしまったりもする。履き比べれば足馴染みの良さは一目瞭でF.LLI Giacomettiがハンドソーンウェルテッド製法を貫き通すのはその為。