毎日同じものを見たり、同じ人と会うことで、最初は興味がなかったものでも次第に親しみや好意を持つようになる心理効果、ザイオンス効果と呼ぶそうです。
毎日出勤し、立つ店頭。
入荷する商品、売れていく商品、変わるトルソー、ディスプレイと、内容は常に変わりつつ、ですが中には数ヶ月一緒に過ごす商品もございます。
静かに店頭に佇むそう言うものは大体派手ではなく、すぐには気付かなかったけど、毎日見てるとじわじわ効いてくる、ぱっと見じゃあ分からない良さがありがちです。
GWを終えてゆったりする時期だからか、なんとかって言う心理効果に当てられてかは分かりませんが、この時期になると例年いつも、少し前から変わらず店頭にある商品が再度熱を帯びて訴えかけてきます。
これまだあるけど、やっぱりいいよなあ。
【百年定番】vol,25 staff Naka.「ザイオンス」[C.P.company/JOHN SMEDLEY/OUR LEGACY/F/CE]








上からいきます、C.P.のシェルです。
C.P. companyはガーメンドダイのプロダクトが十八番であり代名詞のようなブランドイメージがありますが、それ以前の服そもそものパターン、素材開発がいつの時代も最高にクールで、且つ実用的だと感じます。

個人的に一番グッとくるポイントはダービージャケットのようなカップインショルダーで、これがフード型のシェルに当てこまれているだけで急に普遍的じゃなく見えてくる。
フィールドと言うより無機質なビル群に囲まれた都市の情景が浮かぶ、モダンで、でもどこかクラシックな懐かしさがある、イタリアらしい程よくシャープなパターンがC.P.をファッションとして着たくなる魅力です。
天候関係なくカッコよく見える前天候ウェアは梅雨時期になればきっと、選んだ自分を褒めている。
ストレッチ性もあり、やはりC.P.のテキスタイルは肌触りもいいので、半袖の上からの着用に何の違和感もございません。
サイズはバラバラですが3色ご用意ございますので、お好みで。

C.P. COMPANY
18CMOW403J
color : 891 INDIA INK
size : S / M / L
price : 79,200yen (tax in)
着用staff : 168cm/55kg
着用size : S


カッコいいアウターの中にはそれ相応なインナーをと、シーアイランドコットンのJOHN SMEDLEYを着ております。
この絶妙な配色の長袖リンガーが冒頭の通り、今になってじわじわキテます。
アメリカンなガシッとしたコットンとは見え方も着心地も違い、海島綿のカシミヤ見えする上品な光沢も相まって、スマートなC.P.のパターンにもスッとハマるのが気持ち良い組み合わせです。

誰もが一度は袖を通すであろうコットン。
海島綿の収穫量は全綿花のわずか10万分の1程度と言う途方もない希少性で、着心地、見栄え共に、やはり格が違います。
そんな上等なものをひけらかさず、なんの気無しにしらっと着てるのが、個人的に理想的でございます。
由緒正しきJOHN SMEDLEYのちょっと変わったデザイン、いいですね。

JOHN SMEDLEY
S4755
color : RAIN FOREST×PMT
size : M / L
price : 49,500yen (tax in)
着用staff : 168cm/55kg
着用size : M

目を惹くバッグはF/CEの中でもボクの最も好きなDyneema(ダイニーマ)シリーズのメッセンジャー。
別名超高分子量ポリエチレンはアウトドア、スポーツ、ミリタリー、医療など様々な分野で活用されており、防弾チョッキ、クライミングロープ、船舶用ロープなどの生死を左右するような極限の環境下でも起用されております。

水に浮くほどの軽量性に対し、同じ重量の鋼鉄に比べて約15倍の強度を誇ると言う脳筋素材で、ついでに水も防ぎます。
深海魚のように中のものが透けるくらい極薄な、けれどめちゃくちゃ軽くてタフなバッグ。
底面のグリッド部も、なんとも幾何学的で未来的。
実用性に加え存在自体がアクセントなバッグは、特に春夏のスタイリングの印象を大きく変える起爆剤です。

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F/CE.(F White/ホワイト)PRICE : ¥36,300
- 1 COLOR
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パンツは既に私物になったOUR LEGACYのカーゴパンツ、最近密かに狙ってました。
アイテム名"MOUNT CARGO"はブランドの定番モデルで、シーズンごとにテキスタイルを変えてリリースされております。
今シーズンはコットン×リネンのくたっとした柔らかい生地にほのかにムラのある染色がされており、ウォッシュの加工も相まって、これまでずっと連れ添ってきたかのようなやれ感が履き始めから親近感を抱かせます。


OUR LEGACYの使う生地は上等なものばかりで、今回もキャンバス地のようなゴワッとした硬さがあるように見え、けれど実際は履くと非常に滑らかで、歩くと靡くし、クッションもフワッと溜まる良い軽さです。
いつもそうですがここのブランドの生地使いはユニークで、写真と着用した際の印象は違うことが多く、良い意味で肩をすかされるような意外性にボクはいつもやられます。

股上は少し浅めで、ポケットもお尻もコンパクト。
裾にかけてなだらかにフレアになる、パターンメイキングが独特なMOUNT CARGO。
軍モノのオリジナルの無骨さやルーズさとはとは違った良さのある、デザイナーズらしいスタイルを顕現したカーゴパンツです。
見た目に反して実際はふにゃっとした生地感で、この絶妙な脱力感、リラックス感のカーゴパンツは見たことなかった。
最初はパッとしない色味のパンツだなあくらいでしたが、一度履いて、数週間店頭で見ていると、ドレープ感のあるくすんだキャンバス地に、気付けばじわじわやられておりました。
夏はTシャツにこればかりなのが既に目に見えてます。

MOUNT CARGO
color : STONE GRAVEL DRAPING CANVAS
size : 44 / 46
price : 71,500yen (tax in)
着用staff : 168cm/55kg
着用size : 44

ぱっと見じゃ分からないものの良さに気付けた時や、自分にだけ刺さりフィットするポイントが見つかったときの掘り出した感、高揚感。
単に長い間見て心理効果に当てられて、と言うの癪なので...それがきっかけで皆がスルーしていた良さに気付けた、ザイオンスした自分を褒めたいと思います。
皆さんもぜひ明日から使っていきましょう、ザイオンス効果。
そうやって選んだものって意外と長い付き合いになるんですよね。
Text by staff Naka.