feature:LOFTMAN | BONCOURA通信増刊号

brand :

デザイナー森島久が10代の頃から傾倒し、着用し続けてきたヴィンテージ。そして先入観に捉われず愛用してきた雑貨や民芸品の数々。それら、心の琴線に触れた全てのものを愛し、手に取り蓄えてきた知識と経験を最大限に生かして生み出される珠玉のプロダクトは、決して流行に流されない普遍的なアイテムばかり。生地はパーツや縫製など細部に至るまでこだわり抜き、高品質なNIPPON MADEを追求。妥協無く、誇りを持って生まれ、そして自らとともに人生を刻む服。それがBONCOURAです。フランス語の「BON COURAGE(ボンクラージュ)」=がんばれと、日本語の「ぼんくら」=信念を貫き、自分を押し通す、愛すべき馬鹿人間。この2つの意味を持たせたブランド名「BONCOURA」には、“信念を貫き自分を押し通す、愛すべき馬鹿人間。そんなすべての人に「がんばれ!」という想い”が込められています。

interview :

どうも、澤村です。
本日は、
”BONCOURA LEATHER ITEM SPECIAL
ORDER FAIR 2024”の開催にあたって
BONCOUAの本拠地へとやってきました。

イベントに向けて
レザーアイテムにスポットライトを当てて、
「BONCOURA/ボンクラ」デザイナーの
森島久氏にインタビューを依頼しました。

やってきたのは大阪府柏原市に
位置する"SALON BONCOURA"。

"SALONとは、BONCOURAを纏う人たちが集い
会話を楽しむ場所である。

SALONでは、オレの好きなものに囲まれて
ゆっくり楽しむ場所がある。

SALONは、いつ訪れても新たな発見が
ある場所である。"

"SALON BONCOURA!". オレはボンクラ.
2017/04/02
https://boncoura.jp/archives/65826459.html


展示会のたびに訪れるここSALONで、
今日も新たな発見が。

澤村:本日はお時間とっていただきありがとうございます。

森島氏こちらこそ。まずはコーヒーでも飲んでや。

澤村:ありがとうございます。

森島氏飲みながら始めよか。

澤村:ありがとうございます。それではまず、ブランドとして“レザー”というアイテムを始めたきっかけをお伺いしたいと思います。

森島氏まず自分の中の定番の位置付けにあるのがデニム、スエット、ダンガリーやシャンブレーのシャツ。そしてアウターといえばレザー。ちなみにちょっとおめかしするならツイード。BONCOURAはブランドとしてトータルで男として”これ着たいよね”ってものを順番に作っていけたらなと思ってて、妥協のないもの作りをモットーとしてます。なので必然的にレザーは取り組まなければならない。作らなければならない。という位置付けやったかな。

澤村:並々ならぬ情熱と拘りを持ってレザーに取り組んではると思いますが、初めてレザーをリリースするにあたっての準備はどういったものだったのでしょうか?

森島氏結構前から取り掛かってたかなあ。 構想はブランド始めた時から。 レザーだけでなくさっき話したアイテム達はブランド始めた時から構想があって、たまたまレザーが一番最後になったけど。 最初にデニム。そんでシャツ作って、そっからカットソー、スエット作って、ほんで満を持してレザー。

澤村:ようやく納得いくものができたんですね。

森島氏そうやな、元々リリースする5年6年前から、いやもっと前からやな。原皮探しに行ったりはずっとしてたからな。もちろん同時進行でタンナー回ったり縫製場探したりはしてた。

澤村:そんな前から取り掛かってたんですね。

森島氏せやで。リリース前にしっかりと時間かけて作り込むのはBONCOURAのどのアイテムにも共通する特徴やからな。 結局自分が納得できないもんはお客さんに勧められへんからな。 自分が納得できて、俺が着たいと思えるかどうか。 それが大事なんよ。

澤村:BONCOURAの哲学ですね。レザーの拘りポイントはどんなところですか?

森島氏まず、自分で原皮を選ぶ。 そして原皮をどう仕上げるか。 なるべく皮本来の良さを生かして仕上げる。 厚化粧、傷隠しはしない。 あと経年変化。 どんだけかっこよくなるか。 どんだけ馴染むか。

澤村:なるほど。デニムや他の素材同様に森島さんが全ての工程に携わって生まれるんですね。 その中で苦戦したことってなんかありました?

森島氏全部がイチからのスタートやった事かな。 原皮探しもタンナー探しも。 縫製場もレザーできるとこ探さなあかんし もちろん洋服のパターンもレザーとそれ以外で微妙に違うしな。

澤村:そう聞くとめちゃくちゃ大変ですよね。デザインもするわけですもんね。

森島氏そうやな。でもデザインやそれに伴う細かいフィッテイングは元々ヴィンテージもたくさん着てたし、昔アメリカのとあるブランドでようオーダーしてたから色んなアイディアはあったかな。

澤村:なるほど。森島さんですもんね。そこには圧倒的経験値があったんですね。

森島氏そうやな、10代から着てたからな。

澤村:レザー歴40年ですね。

森島氏そうやな。あと、質問の答えになってへんけど、大変と思ってやってないからな。

澤村:と言いますと?

森島氏人とは違うやり方でやるんやから大変で当然。その中で独自性も出す。やってる最中は楽しいんよな。

澤村:職人気質ですね。

森島氏そうなんかな?それで自分が納得するものできた時の達成感とかサロンや取扱店でお客さんが喜んでくれるええ顔見れたら作って良かったなあと思えるからな。

澤村:めちゃめちゃええ事言いますね。

森島氏そうやろ(笑)

澤村:アイテム毎の話もお伺いしていきます。まずは一番最初にスエードを発売した理由ってあるんですか?

森島氏まずはスエードってスムースレザーに比べて気軽に羽織れるし、着やすい。 傷も付きにくいから気兼ねなく着れる。 形も所謂3rd型で普遍的なもん。 最初に発売するレザーは色んな人に選んでもらいたいなと思って。

さっきも話した通りで原皮選びも時間かけて納得できるモノに出会えたし、タンナーさんにと協力して、今までにない滑らかでかつ水に強い理想的なスエードが出来た。 それを裏地の無い1枚モノで作ってるからBONCOURAレザーの中で1番着れる時期は長いかな。

澤村:次はスムースレザーの”Sasha”のお話をお願いします。

森島氏ジッパー型ならライダースかなとも思ったけど、せっかくなら自分のコレクションの中から1番のお気に入りの形をベースにしようかなと。 このモデルのベースになってるのは昔からよく着てる1着。 チンストラップ、フラップポケット、サイドアジャスター付きの 1930年代くらいかな?おそらくやけど当時のテーラーが仕立てたオーダー品かな。ブランドネームも無いし。

澤村:自分のお気に入りを森島さんのフィルターを通してBONCOURAとして発売ってなんか良いですね。

森島氏かといってもちろんそのまま再現ではないからな。 細かいサイズやディテールの変更で自分自身が納得できるようにはしたかな。

澤村:なるほど。ちなみに”Sasha/サーシャ”って言葉聞いたことないのですが、由来ってあるんですか?

森島氏もちろんあるで。昔よくアメリカ行ってた頃にポートランドでよく通ってたレザーのカスタムオーダーショップがあって、そこで沢山オーダーしてたんよ。 通ってるうちにその店のトムていうスタッフと仲良くなって、 Hisashi MorishimaのHisashiが向こうの人には発音しにくいみたいでHisasha/ヒサシャってなって最終的にsasha/サーシャになった。 途中からトムも君ってなんかSashaっぽくない?とか言ってた。 胸に名前入れて作ったやつでSashaって入ってるのもあるしな。

澤村:Sashaの名付け親はトムさんなんですね。

森島氏そうそう、確かトムはその店の創業者の孫やったかな。

澤村:トムさんもまさか自分のネーミングしたレザージャケットが販売されてるなんて思ってないでしょうね(笑)

森島氏そうやろな(笑)

澤村:そして次にリリースしたのがカーコートですよね。

森島氏そう。これはSashaと原皮は同じやけど仕上げが違って、より色も黒くなってる。 カーコートやけど着丈はそんなに長くない。シンプルなデザインしたかったから胸ポケットもポケットのフラップも無くした。

澤村:色んなヴィンテージのカーコート見てきた森島さんが納得いくデザインがこれってことですね。

森島氏そうやな。あとヴィンテージのカーコートはほとんどがウールのライナーやけどチクチクしてTシャツには着にくいし、冬しか着れへんくなる。 そこもなんとかしたくて裏地をキュプラで作った。 もちろんキュプラも拘ったで。 オリジナル生地で日本に数台しかない機械で織ってる。BONCOURAのロゴも織り柄で作ってるし、よく見ると単色じゃないんよ。見る角度で色が少し変わる玉虫生地みたいな感じ。

澤村:見えないところまで拘り満載ですね。

澤村:そして今回の新型1st型のホースレザーですね。

森島氏よくレザージャケット愛好家の中では”牛より馬の方が良いレザー”みたいに思われがちやけど、個人的には必ずしも牛より馬の方が良いってわけではないと思ってるんよ。 馬には馬のよさ、牛には牛の良さがそれぞれある。だから今までカウハイドでレザージャケットを作ってきたけど 作りたいものに対して適材適所の素材選びをするのがBONCOURAやから 今回の新型の1st型は馬で作りたかったんよな。自分がヴィンテージで着てきたホースハイドの質感で1st型が欲しかってん。

澤村:今回のジャケットの拘りポイントはどこですか?

森島氏まずデニムの1stとはパターンを変えてる。 アームや身幅を少しジャストフィットになるようにした。 この形がホースレザー特有のシワの入り方を最大限に活かせる。

森島氏あとは機能性を考えて裏地と内ポケつけた。

澤村:やっぱり話聞かないとモノの良さって分からないですね。 この1st僕買います。 あと、うちのスタッフから頼まれてる質問なんですが、4番目のレザーが馬革なのは4th/フォースとHorse/ホースでかけてるんですか?と。

森島氏もちろんそうでしょう(笑) ちなみにホースのファーストモデルが1st型なところそうやで(笑)

澤村:ほんまですね(笑) さすが森島さん(笑)
本日は貴重な時間を取っていただき、ありがとうございました。イベントも楽しみにしています。

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