history :
1951年に創業した奥山メリヤスは山形県寒河江市に位置する老舗ニットファクトリー。
葉山、月山、大朝日岳といった名峰に囲まれ、澄みきった清流が近くを流れるこのエリアは、かつて羊毛の産出や紡績が盛んに行われていたニットの聖地としても知られています。
糸を紡ぎ出す紡績工場、その糸を染める染工場といった近隣の職人たちと綿密に連携することで、担保された高い品質から数々のメゾンブランドやアパレルメーカーの製品を手掛け、国内はもとより世界でもそのクオリティーが評価されています。
そんな生産背景の中で3代目の現代表・奥山幸平氏によって生み出されたファクトリーブランド〈BATONER/バトナー〉。ブランド名には、日本が世界に誇る技術と伝統を次の世代へと引き継ぎ、”バトン”を渡すという意味が込められています。
BATONERのニットは、一見シンプルでオーセンティックな雰囲気がありながらも、細部にまで拘った圧倒的に美しい仕上がりが特徴です。中でも得意とする畦網みの技術を採用した“Signature”シリーズは、ブランドを象徴するアイテムの一つです。全ての工程にヒトの手が入った古き良き日本のニット。肌触りの良さやじんわりと包み込んでくれる温かさは格別です。
BATONERの製品の土台となる糸の染色や紡績、仕上げの縮絨などを担う山形整染(株)の作業風景。かせ染めとチーズ染めという性質の異なる2種類の染色技法を使い分け、表現したい色味を細かく調整します。
BATONERでは主に成型編みという方法でニットを作成しています。パターンに合わせた編みのデータをサイズ展開毎に修正せねばならず非常に手間のかかる手法ですが、糸のロスなども生じにくい環境に優しいモノづくり。その根幹を担うのがこのプログラミングの工程です。
プログラミングで作成されたデータは編み機に移され、寸法通りに編み上げられます。BATONERでは前見頃、後見頃、右袖、左袖を順に作成していく手間のかかる方法をとり、環境的要因等による製品の誤差を極力減らしています
使用する糸の番手や機械のゲージによっても仕上がりの表情が全く異なるのでニット作りの奥深さが垣間見えるシーンです。
型通りに編まれたニットのパーツは職人の手仕事によって繋ぎ合わされ、製品となります。その"繋ぎ"の工程がこのリンキング。指定されたゲージ毎の針にニットの目を一目ずつ通していく作業。ニットのニットたる伸縮性を最大限に活かす方法です。
各工程毎にもクオリティコントロールがなされていますが、製品の最終確認として編み地の状態、縫製やほつれのチェックなどが入念に行われます。
温度や湿度、糸の性質などの要素によって生じた多少の誤差を金型と高温蒸気によって調整し、寸法を揃える工程です。金型を微調整しながら製品寸法通りに合わせていきます。また、モヘア等の繊維を活かした製品は洗いをかけることで風合いに変化を良化させます。
製品のチェックが完了し、ファクトリー内の最終工程がパッキングです。この工程も1枚ずつ手作業で袋詰めしていきます。なお、発送前には必ず金属探知機による金属片の混入の有無をチェックします。こうしてBATONERのニットは届けられるのです。