本当は誰かに教えたいこと / 「patagonia」

数日前、10歳程も歳の離れた後輩から「珍しいですね。patagoniaも着るんですね。」と、満面の笑みを浮かべながら話しかけられた。

正直……かなり焦った。

というのも、LOFTMANに入社したのが確か21歳の頃で、先輩方に可愛がられながら入社から2〜3年後にはpatagoniaを担当させて頂いていた。
当時から毎朝のジョギングは変わらず行っていたし、下手くそながらもスノーボードなんかも趣味で楽しんでいた。
実はサーフィンにも数回連れて行ってもらった事もある。(「こんなにも過酷なスポーツは他に無い。」と思うのと同時に、僕にはあまりにも不向きに感じた為、長続きはしなかったが…)
兎にも角にも、patagoniaのウェアは普通に結構身近なところにずっとあった。

patagoniaの“Mission Statement”には今回はあえて触れないが(興味がある方はコチラ)、patagoniaを担当させて頂いていた頃から鮮明に頭に残っているのは「Regulation System」なるものが打ち出された事だ。
「3 Layering System」を20代のうちに学べた事は、その後の僕の洋服人生の中でもことさら大きかった。

当たり前の事のようだが…

「Base Layer」「Mid Layer」「Outer Shell」
この3つのアイテムの組み合わせの調整だけでどんな環境にも適応できる!……はず!(笑)
つまり機能的な要素だけで言えば洋服を3枚以上着る必要は無い。

というのが「3 Layering System」である。
そんなSystemというか理屈を知る前、10代の頃の僕はと言えば真冬の2月でも半袖の上にDown Jacketを着ていたし、なんなら高価なアウターは値段の分だけ温かいと信じ込みGore-texのShell Jacketを半袖一枚の上から着用し、ブルブルと震えながら気合いで冬を乗り切っていたりもした。
時にはCotton生地の長袖のTシャツを4枚重ねて着ていた。
もちろん寒い上に動きづらい…
これほどまでに冬が寒く、そして不快に感じるのは自分だけなのだろうか?と周りを見渡しながらよく思ったものだった。

少し大げさに言うが、そんな悩みを科学的に解明してくれたのがpatagoniaだった。
「3 Layering System」を知ってからは“素材”と“Layering”の相性を大幅に見直して、今では毎年やってくる以上なまでに過酷だった冬へのイメージは大幅に改善された。

そうした改善の過程で…

「Fleece」が開発される以前の代用品は?
「Sweat」が開発される以前は?
「Sweater」の素材って?

から始まり…

「Shirt」って何?
「Jacket」って?
「Savile Row」って?

興味の矛先がどんどん広がりながら劇的に変わっていった。

よくMt. Everest登頂の古い写真や、少し昔のYosemite National Parkの写真集などを見ていたが、夢中になって見飽きることはなかった。
そんな日々の中で「本当に極寒な気候に挑む時は良質な天然素材で行きます。」と誰かが言っていたのはよく覚えている。

(もちろん諸説色々あるのだろうが)「化学素材」の凄さと「天然素材」の尊さに興味が非常に引かれた。

さて、そんな機能的な部分だけでなく、過酷な環境下での着用を想定した衣服というのは、細部に至るまでかなりディテール数が多く、全てにきちんと意味がある。
僕はそれらの使用目的をそれほど深く理解できなかったが、単純な「Design」として捉えて心シビれていた。
もちろんそれは今でも変わらない。

そんな風にデザインにシビれるようになってからは、「Design」って?…と変な方向に気持ちや興味が向いていく事になる。

よく聞く話だが「Outdoor Wear」や「Military Wear」は発見の宝庫だ。
もちろん現在進行形で良い素材やテクニックが開発されるたび、この分野はまるで家電製品のようにどんどん変化し続けている。

patagoniaはと言えば、機能的な部分では開発が進み、電化製品のように変化していくのにも関わらず、名品と呼ばれるプロダクトを数多く残している。
なぜかと言えば、理由はやはり「Design」が良いからだろうと思う。

それでいて、常に表向きな「Mission Statement」はブレずに、一貫したモノ作りを続けている。
「企業理念」って大事なんだなぁ……としみじみ思う。(笑)

「patagonia」にはこれまでも、そしてこれからも興味しかない。

 

PRESS NAKANISHI

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