本当は誰にも教えたくないもの / LE YUCCA’S 編

海外出張から戻ってくると、しばらく店頭を不在にしている間に春のアイテムの入荷が始まっており、「さっさともう一度商品の説明をしろ!」というような心の声がスタッフの目に現れていて戦々恐々としております。(笑)

というわけで、海外のよもやま話は飛ばして早速本題へ…
今回は春のアイテムの中でも入荷したての「LE YUCCA’S」の話を少し。
昨年よりスタートさせて頂いていた「LE YUCCA’S」の事は、すでにご存知の方も多いかと思う。
生産はかの有名なItalyの「Enzo Bonafe」で行われており、僕よりも年配のお客様からは、店頭で実物を見て頂くまでは「Square Toeなの?」とか「足型が合わないのではないか?」とか「スーツを本格的に始めようと思ってるの?」とか色々と質問された…
(僕よりもひと回りもふた回りも世代が上の方で、ずっとファッションに対して現役でお買い物を楽しんでいらっしゃるモノ好きな人生の大先輩方とのこういった会話は非常に楽しいが、時に手厳しい一面ももちろんある。モノを見て納得頂け、ご購入頂いた時は素直にとても嬉しいものだ。)

ちなみに僕としては今の所はまだ“Square Toe”を取り扱う予定も、“スーツを本格的に始める”予定も無い。

さて、話を戻すと…

「Enzo Bonafe」は、60年代からスタートし、現在に至るまで半世紀以上に渡ってひたすら丁寧に靴を作り続けており、僕は「老舗」だと思っている。
「老舗」という言葉の定義には色々とあると思うが、
(数年前に京都のとある料亭で板前を務める方との会話で「うちは創業100年も経っていないので、京都ではとても“老舗”なんて名乗れない。」というお話にとても驚いた時の事をふと思い出した。)
「Enzo Bonafe」は僕にしてみれば立派に「老舗」であり「Classic」である。

それは移り変わりの激しいFashionに携わりながら、半世紀以上に渡って変わらないポリシーでモノ作りを続けているからに他ならないが、そうして続けられる大きな理由の一つには“品質の独自性”が挙げられるだろう。

Enzo Bonafeの手がける革靴には、Industrial感の強い革靴では決して手の届かない仕事の細やかさ丁寧さがある。

そして更に、様々なシューズブランドのDesignerとして渡り歩いてきた方のデザインがそこに加わるわけだから、尚の事「LE YUCCA’S」というブランドの靴は面白い。

Designerとシューズの打ち合わせをしていても…
「Athletic ShoesのDesignerを長い間経験してきたから、Fittingは少し余裕を持たせた上で、つくりも丈夫なつくりにしている。」との事、既存の「Enzo Bonafe」では許されない革の使い方をしていたりと、そこには常に「旧くて新しいモノ」を打ち出そうというチャレンジが常にある事がわかる。

さて、そんな「LE YUCCA’S」の多彩なサンプルの中から今回は「くたびれた…」というキーワードを根っこに置いて、お互いのアイデアを出し合って話を進めていった結果、最終的にこのモデルが出来上がった。

もちろんいつものごとく、“口で言うのは簡単”なのを良いことに…

しなやかな革を使い、出来るだけ柔らかな表情の皺がアッパーやアンクル部分に出てくるようにとか…

快適に歩き続けられるように、より「軽さ」を意識してとか…

Leather Shoesらしい堅牢さが損なわれないようにとか…

かなりの無謀を言いたい放題…(笑)

「くたびれた…」にはSuedeの素材は欠かせない。
ひとえにSuedeといっても千差万別だが、イメージ通りの仕上がりには大満足である。

一昔前、レザーシューズというよりも「紳士靴」と読んだ方が耳馴染みが良かった時代には、丈夫な上に柔らかく、通気性に優れたPeccaryは、紳士靴の定番的な素材だったそう。
そんな話をしながらPeccaryの革を使ったモデルの製作は決まった。
挑戦的なオーダーではあったがなるほど思い描いた「くたびれた…」である。

しかし、出来上がったモノは全ての意を汲んでくれており、素晴らしい出来栄えだった。
原型を留めないほどに履き込まれ、玄関先に脱ぎっぱなしにされた哀愁漂う姿がモノを見てすぐにイメージ出来た。
もちろんその傍らには同じくらい着込まれたベージュのBal CollarのCoatが揺れていて、なんとも哀愁漂う「くたびれた」日常のワンシーンが目に浮かぶようだ。

「トッツァン!」ではありませんよ!(笑)

誤解を招くといけないので…(笑)

BUYER NAKANISHI, text

本当は誰にも教えたくないもの / kolor編

BLOGというのも難しいもので、しばらく更新をサボったりしていると、本当は「教えたくないもの」なのか「教えたい事」なのか………自分の中での境界線が曖昧になってし…

2017.08.04Detail>>