本当は誰にも教えたくないもの / Beaver編

つい最近まで「暑い暑い。」と言っていたはずが急に雪が降ったりと、ようやく冬到来といった感じでしょうか。
BLOGで上げるタイミングを外してしまった内容もあるのですが、今回は英国のBoltonにある、とある老舗のFactoryにて依頼した企画のお話に少しお付き合い下さい。
(既に店頭でご覧になってご存知のお客様もいらっしゃるかと思いますが…)

 

 

以前から個人的に苦手なモデルというのがジップアップ型のアウター。
和製英語で言うところの“Swing Top”というやつである。

McGREGORで言うところの“Drizzler Jacket”。
BARACUTAで言うところの“Harrington Jacket(G9)”や“G4”なんかも苦手である。
しかし、唯一似たようなデザインなのに好きなのがBARACUTAで言うところの“G5”と、少し古い型のGRENFELLのもの。
GRENFELLは実際によく着用していて、その当時“Golfer”と周りの先輩達は呼んでいた。

ここ数年は全く着用しておらず、記憶の彼方に消えていたのだが、弊社代表の村井からこのGolferが欲しいとのリクエストを受け、前々回の海外出張の目下の「宿題」になっていたのだった。

 

宿題を預かったは良いが、このGolferと呼ばれるモデルは現在でも生産されている………
それも承知の上でのリクエストの意味を自分なりに解釈した結果、おそらくラグジュアリーな雰囲気を今のGolferよりかなり控えめにしたモノ。
GRENFELLのGolferが“道具”らしい一面も微かに匂わせていた頃合いの「モノ」をリクエストされているのだろうと勝手に解釈をした。(この辺りというのは“ニュアンス”で進めていくしかない…)

 
LondonにデッドストックのGRENFELLが大好きで、サイズやモデルにかなりの偏りはあるものの、今でも実際に店頭に並べている“オヤジ”がいる店がある。その店のオヤジに相談するのだが、「そのモデルの、そのサイズ、そのカラー。そんなモノは当の昔に売り切れている。」とバッサリ…
更に「だったら俺の店のオリジナルを買えば?」と、こんこんと接客される。
確かに大好きなだけあって非常に良く出来てる……
「生産国は?」と聞くと、少し間が空いて「エイコクデハナイ」との事。
今回のリクエストの出処を考えるとそれでは到底許されない。
が、オヤジには「そんなトコロに拘っていたら値段が上がるし売れないぜ」と吐き捨てられてしまった。

だが実は既に翌日には「リクエスト」を形に変える為、Manchesterから程遠いBoltonにあるFactoryに足を運ぶ予定だった。

そうして翌朝Boltonへ向かう。

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車窓からの景色はイギリスらしく見事に曇り空

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到着してみると、この建物の一室がお目当てのFactoryとの事
少々意外だった

到着してすぐFactoryの案内をして頂き、やはりこのFactoryが今回の“リクエスト”に応えるのに適しているように思えた。

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シンとした空間に響くミシンの音
渋い!

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縫い子は少人数体制とのこと。少数精鋭というやつか…

 

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このFactoryはハンティングウェアなど重衣料の製造を得意としてきた歴史がある上に、様々な細かな要望にも応えてくれる。
それでいて出来上がるモノには良い意味での粗さも残っている。
この「下手くそに上手い」という塩梅は中々簡単には真似出来ない(笑)

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様々なブランドの製品も手がけているので、Factory内は製品やサンプルが山積みに

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パターンも山積み

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なんと別室にまで山のようなサンプルが…これまで一体どれだけ縫ってきたのか……

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いかにもな…
一体どれだけ沢山の……

ミーティングも終盤に差しかかり、使うFabricの話になった。

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Fabricも…当然のように凄い量

やはり綿100%でオリジナルに負けない品質で尚且つ“Drizzler”させる為には有名なVentile社のFabricが使いたいと伝えると、周囲からは「値段が高い」と止められてしまった。
が、「どうせベーシックなデザインなのだから品質は下げられない。」と最後は強行突破(笑)
その後もミーティングは順調(?)に進んで帰国後サンプルを待つことに…

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パタンナーは彼も入れて2、3人

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顔は撮らせてくれなかったが、是非とも良い出来を!

そして待つこと数か月…

「バランスが違う!」という事で再度。

そして待つこと数週間…

「ジッパーが違う!」「ポケットの角度が違う!!」等々、多数の問題が…

 

先人達に相談したところ「よくある事でむしろ当然」と言われ、諦めない気持ちで取り組む。
(…なんせ今回リクエストの出処が出処……なので下手な事は出来ない。)

紆余曲折を経ながら、何度かサンプルアップを繰り返し、ようやく出来上がったモデルを村井へ…

とても気に入ったようで一安心である。

個人的にも数十年ぶりに着用するジップアップ型で新鮮な気持ちだ。
ジャケットの上からも着用出来る設定にしたのでこれからの季節も登場シーンは多くなりそうだ。

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BUYER NAKANISHI, 出張

本当は誰にも教えたくないもの / Bridlington編

毎年、夏が来ても僕はショートパンツをほとんど着用しません。 ショートパンツを着用する時といえば、夏の海外出張で一日中街中などをリサーチすると決めた時位のものだっ…

2016.07.23Detail>>