本当は誰にも教えたくないもの / Bridlington編

毎年、夏が来ても僕はショートパンツをほとんど着用しません。
ショートパンツを着用する時といえば、夏の海外出張で一日中街中などをリサーチすると決めた時位のものだったのですが、この夏に関してはもう心が折れてしまいました…

「暑すぎます!!」

暑すぎる上、なんならこれからもっと暑くなるんじゃないかという最中、早くも店頭には秋に向けてのアイテムが続々と並び始めています。
中にはフリースなんかの姿も…
もうよくわからない位、年々秋モノの立ち上がりのペースが早まっていっているように感じます。

 

さて、このBlogもやっと更新したぞと安心し、一息ついたそばから「次は?」とありがたいお言葉を頂いていましたが、時差ボケと夏バテのダブルパンチで少々更新が遅くなってしまいました。
お待たせしてすみません。

今回は溜まってきている海外出張のご報告をいたしますので少々お付き合い下さい。

 

前回の海外出張ではイギリスの滞在期間をいつもより長い期間で予定に組み込んだ。
組み込んだまでは良かったが、Londonでは殆どゆっくりすることが出来ず、早朝に郊外へと出発し、夜にLondonに寝に帰る、そして翌朝の早朝また別の郊外へ…というスケジュールで動いたものだから、中々にハードな出張だった。

そんなスケジュールで日程を進めながらとあるニットを見に行ってきた。
それはどうしても実際に自分の目で見て確認したいと思っていたニットで、そのニットを見るために「Bridlington」という街を目指した。
はじめ地図だけ見たときは「これは、無理だ…」と思うほどBridlingtonはLondonから遠い。
その日はデザイナーがYorkまで迎えに来てくれる事になりYorkでデザイナーと待ち合わせをし、そこから更に2時間弱ほど車を走らせてようやくBridlingtonにあるアトリエに辿り着くことが出来た。

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Yorkの駅。ここでの待ち合わせから一日が始まります

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で、この方が待ち合わせしたデザイナーさん

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アトリエには独特なゆっくりした時間が流れていて、とても心地良い空間でした

Bridlingtonは海に面した街で、古くはVikingとの戦いなどの歴史もあり、沿岸警備隊や漁師など、海でたくましく生きる人々の生活が今でも少し残っている街だ。

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デザイナーは自分の故郷であるその土地の“物語”をコンセプトにモノ作りをしていて、現在は受けた注文は全てデザイナー自らの手で仕上げている。

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「漁師」や「水夫」といったキーワードから連想させられるファッションピースといえばやはりセーターは欠かせないわけだが、始めてそのセーターを見たときは信じられなかった。
あの時走った衝撃は今でも鮮明だ。

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ニットはデザイナーの母親が全て“棒編み”して仕上げていく。
元々この棒編みする姿というのを実際に自分の目で確認するために足を運んだわけだが、棒編みというのは気の遠くなるような作業である。

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一着編み上げるまでに6週間以上はかかるらしく、発注は4着までしか受けられないと言われた。

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デザイナーの母親曰く、
「編んでいると横にきて色々と指示をしてくるのだが、息子ながらムッとする。」らしい…が、
「本当の棒編みのセーターというのは、身体の動きなどを考慮して編む箇所によって編み方のテンションを変える必要がある」らしく、
「そこはもっとタイトに!」や、
「そこはもっと甘く!!」などの途方もなく細かな指示が出されるそう。

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着る人の事が温かく考えられた、まさに“古き良きフィッシャーマンセーター”があった。

サンプルを着用してみると“機械で編まれたモノ”とは明らかに違う着心地があり、これでもかと言わんばかりに棒編み特有の“ブリブリ”とした凹凸感が現れていた。
思わず感動して、テンションが上がったが、すぐさま「4着までだからね!」と念を押されてしまった。

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とても熱心にセーターのことを語ってくれました

その後は、他の商品の説明をして頂いた。
デザイナーは様々な国でフリーランスでデザインの仕事を請け負ってきたが、いつも“サンプル”と“量産”の質の違いにストレスを感じてきたそうで、何年か前から故郷に戻って、自分自身で責任の負えるモノ作りを始めたらしい。
モノ作りに込める相当のパッションが感じられて、個人的にとても好感を持てた。

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説明を一通りし終えると、「英国一のFish and Chipsを食べに行こう!」と言われ、テンションを上げて向かったが、なんとその日は休業日…
「Oh My God!!」だ。
だったらもう一つの郷土料理を…となり、連れて行って頂句と…
それはなんと蟹!

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本当に文字通りの“蟹”だった。

文字通りの“蟹”を海を見ながら食すわけだが…

今にもその辺から生きた“蟹”が出てきそうであった。

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本当にすぐそこに海、しかもちょっと野性的

英国で一番と言われるFish and Chipsが休業日だったのが悔やまれた…

 

そうこうしている間にあっという間に時間は過ぎ、再び2時間弱かけてYorkまで送って頂いた。
往復で4時間弱も車内にいると後半はさすがに眠たくなってしまったが、横で頑張って車を運転してくれている姿を見ると眠るわけにもいかない。
これには一言「辛かったぁ」である。

別れ際、「明日はどこへ行くんだ?」と聞かれ、僕が「HOLT だよ!」と答えると、
「あ〜、OLDTOWNだね!!」と言われた。

内心「MarieさんとWillさんは、やはり有名なのか?」と思い、聞こうかとも思ったが、なにせ4時間近い車内での英語のラッシュ…これ以上英語でまくし立てられるのは避けておこうと思い、僕は笑顔で返してYorkを後にした。

次の日、OLDTOWNのMarieさんとの会話で、前日の話になった時。
Marieさんに「昨日はどこに行っていたの?」と聞かれ、
僕は「Bridlingtonです。」と答えた。
するとMarieさんは「あ〜、WAYSIDE FLOWERね!」とご存知の様子。

お互いに面識は無いけれど、モノ作りや取り巻く環境などで共感し合う仲らしかった。

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